球体通信

Around Forty gay on the Kyushu Island

マイア・ヒラサワ。

あの大震災からもう7年と11ヶ月。

あの東北・関東大震災で吹き飛んでしまったもの、たくさんあったと思います。

影に隠れてしまったもの、見えなくなってしまったもの、たくさんあったと思います。

マイア・ヒラサワという人の音楽もその中のひとつだったのかもしれません。

 
2011年3月12日は九州人にとっては待望の九州新幹線全線開業の日でした。

その前日の午後2時46分、あの東北・関東大震災が起きました。

僕はあの日、自宅のテレビであのありえない光景を見ていました。

真っ黒い波が様々なものを飲み込みながら田畑を走っていました。

誰もが現実とは思えなかった光景。とにかく胸が激しく鳴っていたのを覚えています。

全線開業に合わせ新しく生まれ変わった博多駅での式典は当然中止。

広告やテレビCMも自粛されました。

 

日々一刻一刻、想像を上回る被災地の悲惨な状況が伝わってきました。

職場のテレビから流れる福島第一原発の建屋の爆発を見て、さらに絶望的な気持ちになったのも覚えています。

被災地から遠く離れた九州人の僕だってこれは日本という国が本当に終わったんだなと思いました。そして、日本中が不安と絶望に包まれ、あらゆるものが自粛、自粛となりました。

 

そんな中"感動した"、"元気をもらえる"とインターネット上で大きな話題となった動画がありました。それが、JR九州九州新幹線全線開業『祝!九州』キャンペーンCMでした。このCMに起用されていた曲がマイア・ヒラサワの「Boom!」でした。


祝!九州 九州新幹線全線開CM180秒

久々に見ても泣けちゃいますね。この作りは反則といった感じもしますが。

あの当時、このCMに力をもらった人が全国にたっくさんいるんだろうと思います。

厳しい状況の中、お祝いムード満載の自粛されたCMが人々に力を与えるなんて誰が予想できたでしょうか。

 

こちらは「Boom!」のミュージックビデオ。CM動画を再編集したものです。


Maia Hirasawa - Boom! Music Video 「JR九州/祝!九州キャンペーン」CMソング

強く弾むリズムが何とも言えず僕の胸にも響きました。

この曲が僕の大震災の記憶にしっかりつながっています。

 

彼女の曲は多くのタイアップを獲得していたので彼女の名前は知らなくても曲を耳にしたことはあるという人は多いと思います。この「It Doesn´t Stop」も花王『エッセンシャル』CMソングとして大量OAされました。


It Doesn´t Stop by Maia Hirasawa

歌詞の中に"仙台"と出てきますが、彼女は仙台に住んでいたこともあるらしく友人も多くいたそうです。そんな愛する仙台が大震災であんなことになってしまうなんて。そして大震災に関連して自らの曲が注目されるなんて。何か運命的なものさえ感じます。

 

彼女は日系のスウェーデン人ということで、ちょっとLiLiCoさんぽい雰囲気ありますね。この「The Best Team」のミュージックビデオがそう見えるだけでしょうか。


The Best Team - Maia Hirasawa

この曲も花王『エッセンシャル』CMソングに引き続き起用されました。

 

2016年のアルバム『Beautiful And Ugly』より「話せてなかったこと」。

 
マイアヒラサワ・ 話せてなかったこと

全編日本語詞のシンプルなギター弾き語り。仙台に思いを馳せ歌っているのかな。

 

九州新幹線のCMで否応なしに大震災と絡んで特殊な注目をされた彼女。

当時の平時とは全く違う状況で彼女の音楽が正当に評価されていたかは甚だ疑問です。

大きな力に、大きな出来事に翻弄され続けるちっぽけな僕ら。

でも、彼女のように音楽で希望を抱かせてくる人間がいるということが一筋の光になっていると思うのです。

 

NHKドラマ『紙の月』の主題歌となった「子守唄」がすごくいいです。