昨日、北九州市門司区にある門司港駅がグランドオープンとなった。
門司港駅の駅舎は鉄道駅として初の国の重要文化財に指定されている歴史ある建物。
2012年から7年かけて保存・修理を行い、この度完全"復原"となった。
1914年の建設当時のモダンな姿が100年以上の時を経て2019年に甦る。何ともドラマティックだ。
JR九州も特設サイトを作ってオープンまでカウントダウンをしちゃうほどの力の入れようだった。
こちらがグランドオープンの模様。
あのタモリさんを呼んだりやSL車両を持って来たりやっぱりすごい力の入れよう。
オープン当日はあいにくの雨になってしまったが、雨に濡れた駅舎も味わい深いじゃないですか。
大正時代の駅がそのまま使われていたのもすごいけれど、大正時代の姿にまた戻すのもすごいよなぁ。う~ん、はやく行きたい。
北九州市は『門司港レトロ』と銘打って門司港周辺エリアをおしゃれ観光地整備している。
すばらしい関門海峡の眺望はもちろん、
海運で栄えた頃のレトロモダンな建物が周辺には残っておりそちらも楽しめる。
それこそインスタ映えするというので今や若者にも人気のスポットにもなっている。
名物として「焼きカレー」が推されているが、そこまでたいしたものではない。
かつて門司港駅は九州の鉄道の起点駅だったこともあり、JR九州にとっても鉄道事業の大切な拠点となっている。
その象徴の門司港駅の"復原"に力入りまくりだったのは当然だとも言える。
JR九州は豪華特急列車『ななつ星』など水戸岡鋭治さんデザインの奇抜な列車で有名だ。他のJRに比べても鉄道事業のイメージが強い。
だが、不採算路線を多く抱えるJR九州では鉄道事業だけで利益を上げていくのは極めて厳しい状況だ。
そのため、JR九州は駅ビル事業、ドラッグストア事業、農業事業、今や建機事業にまで事業を拡大している。生き残るための多角化である。
1987年、かつての国鉄の分割民営化により生まれたJR九州。
JR北海道、JR四国とともに厳しい状況だったが、その中でいち早く多角化に成功し唯一上場企業となった。
地方にありながら攻めの経営努力により成功者と言える存在なのだ。
そんなJR九州が昨年春に断行した大規模なダイア改正は大きな衝撃を与えた。
九州各地どこも減便、減便、また減便。この決定は多くの自治体の反発を招いた。
鉄道駅にアクセスするのに車で数十分かかる地域に住む僕(どんだけ僻地なんだ)には直接関係なかったが、利用者にはたまったもんじゃなかっただろう。
まさかの朝夕のラッシュ時までの減便。都市部の利用者はさらにキツ買っただろうと思う。
「地域の足を守れ」とか「儲けてる分を鉄道に回せ」とJR九州を批判するのは簡単だ。
しかし、他の事業の利益に支えられているとはいえ主幹事業である鉄道のコストカットを断行したJR九州を非難はできないのではないかと思った。
先を見通した時にそれだけ日本の地方の状況は厳しいのだと。
もはや生き残れるかどうかという岐路に立っているのではないかと。
JR九州に妙に肩入れした感情を抱いたのを覚えている。ただの鉄ヲタなのかな。。。
僕が日常的に鉄道を利用していたらこんなに冷静に受け止められなかったかもしれないが。
いつの間にか僕たちは平和ボケしすぎていたのかもしれない。
低成長社会の中でレベルの低いある意味の安定を感じていたが、ある日突然崖の下に突き落とされるような未来がすぐそこまで来ているような気がしてならない。
それは上にリンクした記事のように鉄道に限った話ではないんだろうと思う。
九州人としてJR九州の生き残りの動きはとても参考になる。
地方に生きる者へアイデアやパワーをくれるような気がするのである。
厳しい時代を前に今何をすべきなのか、自分の人生を含めじっくり考えたいと思った。
そして、これからもJR九州を、九州の鉄道を見守っていこうと思った。
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