歯に衣着せぬという表現があるが、まさに彼女のための言葉だと思う。
昨年12月のM-1騒動以降、全国的に注目度も増したエミリーこと上沼恵美子である。
今年3月に放送回数1000回を迎えた関西テレビの人気番組『快傑えみちゃんねる』
など大人気番組を持ち、関西で圧倒的な人気を誇る言わずと知れた関西の女帝だ。
主戦場はあくまでテレビなのだろうが、ラジオでもしゃべりの天才のトークはすごい。
毎週月曜日昼12時から15時までの3時間生放送。
台本なしのぶっつけ本番。コーナーは一応あるものの番組の大部分をフリートークが占める。
完全フリーなので話題はループしがちだ。だが、その話の一つ一つが完成されているので何度聴いても飽きずに笑えてしまう。
トークテーマは多岐にわたるが、僕が好きなのはやはり6歳年上のお姉ちゃんとの話だ。
かつて海原千里・万里という名前で漫才コンビを組み、10代の頃から大スターだったというエミリーとお姉ちゃん。
多忙な中でお姉ちゃんと毎晩深夜にてっちりを頼んで食べていたという"てっちり姉妹"の話やお姉ちゃんが鍋焼きうどんにお餅が入ってなくて落ち込んでいたのでエミリーがお餅をあげたら鍋底におもちがくっついていて結果、お姉ちゃんがお餅を2個食べたという"鍋焼きうどん"の話が最高だった。
エミリーのスゴさはこういう身近なテーマでいくらでも話せるパワーだろうと思う。
2019年にうどんのすばらしさを誰があんなに熱弁してくれるだろうか。
2019年にだし文化のすばらしさを誰があんなに熱弁してくれるだろうか。
そして、それらが話芸へ昇華された時の素晴らしさを誰が表現してくれるだろうか。
誰もいない。エミリーの他に誰もいないのである。
本当に身近でなんてことないようなことが何でこんなに面白くしゃべれるのか。
毎回話を聴いていて圧倒されて感動してしまう。
最近はよく"引退"の二文字や「あたしもう長ないねん」と弱気な言葉を口にするエミリー。
でも、そう言いながらも消えない仕事への情熱も同時に語ってくれる。
若い頃よりは当然衰えた部分はあるだろう。だが、その分円熟味が増した部分もある。
酸いも甘いも噛み分けた64歳の今の彼女が思うこと。それを全部余すことなく聴けるラジオはやはり贅沢だ。
夫婦生活の苦悩、子育ての苦悩、嫁姑の苦悩。そのすべてが彼女の栄養になっている。
たまにヒステリーになったりその気分のアップダウンさえリスナーと共にするエミリー。
すごく昭和の女性で。すごく豪快な部分もあって。すごく人間臭くて。だから聴いてしまう。
また古き良き芸能界の貴重な話もすごく興味深くて聞き逃すまいと毎週聴いている。
ラジコのタイムフリー&エリアフリーで全国でいつでも聴ける『上沼恵美子のこころ晴天』。
心が晴天になるかはわからないが、きっと新しい刺激が得られるはずだ。
ここ天のオープニングは、この曲のエミリーのカバーバージョン。