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今をもがく人へ~映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観て~。

7月1日、話題の映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観た。

久しぶりの田舎のミニシアターは意外と客が入っていて20人前後の客がいた。

月初めで鑑賞料が安かったからだろうか。それでもそれなりの注目度は感じた。

 

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映画は昨年、国会で統計不正問題を鋭く追及し話題となった衆議院議員小川淳也氏をあの大島渚の息子でドキュメンタリー番組を数多く手掛けてきた映画監督の大島新氏が17年間追い続けた密着映像で構成されたドキュメンタリーだ。 

 

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そもそも大島氏の奥さんが小川氏と同級生だったという繋がりから始まったというこの企画。大島氏の視点は小川氏の身内のような近さでありながら常にある程度の距離感を保ち、時に必要以上にドライに感じられた。でも、だからこそ伝わる部分が多くあって観終った後に観てよかったと思える映画だった。

 

映画はこの17年間の日本の政治を走馬灯のように振り返っていく。小泉フィーバーから自民党の低迷、民主党政権の誕生、そして自民党政権の復活。2005年に初当選した小川氏の歴史は僕が2004年に選挙権を持ち一貫して民主党系候補を応援し続けた僕の歴史と重なりすごく感慨深かった。

 

小泉政権時の民主党のボロボロ具合、その後の悲願の民主党政権の樹立、そして再び下野するまでの様々な感情が思い出された。あの頃の民主党政権への大きな期待、その後の絶望的状況。その中で翻弄されていく小川氏は一議員というより一国民と同じように見えとても身近に感じられた。

 

小川氏は49歳の今も遺伝子的に強いのか若々しくとてもかっこよかった。けれども、17年の月日は確実に流れ、小さかった2人の娘は大人になり支え続けた妻や両親は確実に歳を取っていた。「本当は政治家に向いてないのではないか」と小川氏自身自問自答しながら政治家を続け、周りの家族も彼がやりたいならと応援し続ける。このあたりが一番心に訴えかけてきた。自分自身が人生の方向性に迷っている最中だからかもしれないが。本当に、人の一生ってなんだろうと。どう生きるのが"正解"なのだろうと。

 

偽装、隠蔽、改竄が当たり前に行われる安倍政権の政治。それは許されてはいけないと思っている。でも、たった3年前の2017年の総選挙ことすらもはやほとんど覚えていない自分に愕然とした。安倍政権の暴挙は許されてはいけないけれど、森友問題の発覚後に行われた総選挙で安倍政権は勝っていたんだなぁと。そりゃ滅茶苦茶やるよなぁと。

もちろん都知事選で注目される小池百合子氏の希望の党騒動で野党勢力が壊滅的な状況になってしまったから安倍政権が勝てたのは事実だ。でも、国民があんな政権の暴挙にお墨付きを与えてしまったのも事実だ。そんなことも今更ながら改めて考えさせられた。

 

誠実であろうと迷いながらも一生懸命もがいている(少なくとも僕にはそう見えた)小川氏。その姿は美しくもあり本当に苦しそうだった。映画は今の世の中でなんとか生きているすべての人への応援歌でもあるのかもしれない。

 

誠実なだけじゃ意味がない。わかっている。清廉潔白なだけじゃ意味がない。それもわかっている。実直すぎてある意味、不器用な人なのかもしれない。

でも、そういう人もこの国を動かす人の中にいてほしいと素直に思えた。

 


ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』本予告編

 

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