どの番組にもやさしい視点があふれているから。
文化放送の看板番組である「大竹まこと ゴールデンラジオ!」には、
局のその姿勢が一番表れている。
途中途切れたりもあるようだが聴取率トップを誇り、今年放送14年目に突入した人気番組。
僕もここ数年聴くようになった。最初はそんなに面白いとは思わなかったが、文化放送のポッドキャストから部分的に聴き始めそれからはまっていった。
何がいいの?と言われるとちょっと困るけど、あえて言うとAMラジオらしいゆるさだろうか。すげぇ爆笑するようなことはそんなにないけれど、確実に時間を共にしている感覚がラジオらしくて好きなのかもしれない。
今週はスペシャルウィークの文化放送だが、先週の水曜日のゲストは伊集院光だった。
今やTBSラジオの顔の伊集院光。ともに多岐にわたり活躍してきた芸人でありそれぞれ別の局で看板パーソナリティーである二人の話を毎回楽しみに聴いている。ことあるごとに二人の交流は局の垣根を越え行われてきているが、2007年のゴールデンラジオ!スタート以前の2004年に二人はすでにラジオで共演していた。時はイラク戦争時。
この時の大竹まことの言葉にゴールデンラジオ!の人気の秘訣が僕はあるような気がする。今は亡きTBSラジオの番組「伊集院光 日曜日の秘密基地」。この放送の中で大竹こまことはこう語っている。
「ダメな奴も生きてていいんだよ。この論理がね、今の日本にない。
ダメな釣りバカ日誌のハマちゃんもダメでしょ、フーテンの寅もダメでしょ。
ダメな奴をちゃんと迎えるのが社会なんだよ。それがダメなんだ、今の日本は。」
「カレーライスがうまいってだけでそいつは生きている価値あるんだから。
お前、カツカレーでも食ってみろ。カレーにカツ入ってんだぞ。」
16年前である。2020年、あの頃より殺伐とした空気が充満する世の中で今の方がこの言葉は求められている気がするし、こういう考えの人間だからこそゴールデンラジオ!は10年以上求めらているのかなと思う。
若い頃は女のヒモをしていたとかテレビでまずいと言ったケーキ屋が潰れたりとか、とても褒められた人間ではなかったという大竹まこと。
だからこそこの言葉が生きているし実感が伴っている。
なかなか日々の放送でこういう芯の食った話はない。日々のなんでもない話、それはそれで必要なこと。でも、たまにこういう共演があるといつもよりちょっと深い話が聞けたりする。そういうのもラジオの醍醐味だと思う。
大竹まことは先週水曜日もカレーライスの話をしていた。あの頃より年を重ね71歳のおじいちゃんになった大竹まこと。それでも変わらない日々を生きること。
フラフラと生きたその日1日。なんでもない1日をどうしようもない1日を認めてくれるそのことでどんなに救われるか。そういうやさしい感覚を持った「大竹まことゴールデンラジオ!」はこれからも聴かれ続けるのだろうと思う。