今さら1995年の映画『Love Letter』をアマゾンプライムで見た。
岩井俊二の映画は翌年1996年の『スワロウテイル』から入ったのでずっと見ていなかった。
『スワロウテイル』は正直、音楽の小林武史の作品とも言えるほど音楽が強かったけど、
この作品で映像作家の岩井俊二の強さを感じたなぁ。雪のある景色の綺麗さとかね。
あと出演者についていろいろ感じた。
トヨエツって当時からあんまり好きじゃなかったけどやっぱ芝居うまかったんだなとか
飛び道具的に出てくるアイドル全盛期の鈴木蘭々いいなとか。
あとあと酒井美紀と柏原崇はこの時すでに青春時代の男女を演じていて
これはフジテレビ製作の映画だから翌年スタートの青春名作ドラマ『白線流し』につながっていくんだなとか。
そんな感想もありつつ一番大きな気付きはこれは「返事はいらない」そのものなんだなということ。
ちょうど一年前に公開された『Love Letter』の続編的作品
『ラストレター』(未見)のプロモーションで
岩井俊二はユーミンの「返事はいらない」について熱く語っていた。
実際、『ラストレター』に出演した森七菜にわざわざカバーさせていることからもその思い入れはよくわかる。
この曲の歌詞がそのまま映像で表現されたもの、それが『Love Letter』なのだと思った。
「返事はいらない」を初めて聴いたとき、僕は不思議な曲だなと思った。
後ろ向きな歌詞の世界とファンタジーな浮遊感のある曲とがアンバランスに感じたから。
前に行っていいの?後ろに行っていいの?って。でも、そのファジーさも含めて、
映像作家の岩井俊二が音楽作家の荒井由実から何かを感じ取ったんだなぁと思う。
手紙の返事が欲しい!ほしくない!でも、本当は欲しい。でもでも、って気持ち。
そっか、これは岩井俊二から荒井由実への"Love Letter"だったんだよ!ってそれは言いすぎか。
監督の思いや考えていること、それがネットで世界中の人が瞬時に知れる世界。
そして、映画の中にあるのは25年前の手紙、ワープロ、家電話の時間のかかる世界。
すごく隔世の感はあるけれど、人の想いは変わらないと改めて思った。