球体通信

Around Forty gay on the Kyushu Island

腐女子、うっかりゲイに告る。

昨年から日本でもLGBTドラマがかなり増えてきた。

大ヒットしたテレビ朝日系『おっさんずラブ』の影響だろうか。

www.news-postseven.com

今季は5作品と特に多くなっている。その中で僕が注目しているのは、

話題のNHKドラマ『腐女子、うっかりゲイに告 (コク) る。』である。

www.nhk.or.jp

特筆すべきはクローゼット・ゲイの表現だ。

(クローゼットとは同性愛者であるということをカミングアウトしていない状態のこと)

 

真面目にクローゼットのゲイだけを物語に描こうとすると面白味には欠けると思う。

ストレートと同じように振る舞い波風を立てないような無難な生活があるだけだからだ。

(誤解を恐れずに表現すれば)そこにギミックとして腐女子という要素を絡めることで

物語の中でとても鮮やかにクローゼットのゲイの存在が際立ってくるのだと思う。

 

僕も主人公の純君同様にクローゼットのゲイとして生きてきた。

現実問題としてカミングアウトするメリットを感じないからだ。

傷つくのは怖い。たとえどんな些細な傷だって負うのは嫌だ。


毎回痛々しくリアルな描写に僕の心は揺さぶられる。

母親からの何気ない彼女についての質問。

女性との交際、女性との性交への挑戦。

どれも僕もそれなりに経験してきたことだ。

 

僕も純くんのようにずっと思っていた。

"なぜ僕はみんなと違うのか" 

"なぜこんなことになってしまったのか"

"普通になりたい" "普通になりたい" "普通になりたい"

 

答えの出ない堂々巡りは人の心を脆くする。

思春期は肉体はもちろんアイデンティティの確立される心の成長期でもある。

そんな時期に悩みのループに陥ることはその後の人生に大きな影響を与えると思う。

 

悩みのループから抜け出し歩み出す人。

悩みのループの中で迷い立ちすくむ人。

悩みのループに疲れ果て自ら命を絶つ人。

 

僕は来月35歳になるが、正直純くんと同じレベルの物語を生きている。

未だ悩みのループの中で迷い立ちすくんでいるのだ。

 

原作『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』作者の浅原ナオト氏も

リアルではクローゼットのゲイだと聞いた。 妙にリアルな描写の理由が分かった気がした。

原作は未読なので物語の結末がどうなるかはわからない。

 

僕は僕なりの答えを、僕なりのベストではなくてもベターな答えを見出したい。

 

この物語は僕にとって生きてきた人生そのものを考えるようなドラマだ。 

当事者にとってはそれぐらいのテーマを扱っているドラマだということを

誰かに知ってもらいたい。そう、誰かに。

 

Queen II (2011 Remaster)

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クイーンII

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