毎日のように聴いている文化放送の人気番組「大竹まこと ゴールデンラジオ」。そのメインコーナーのゲストに今日、今年デビュー50周年を迎えた小柳ルミ子が出演していた。
小柳ルミ子といえば「瀬戸の花嫁」「わたしの城下町」「お久しぶりね」など数多くの昭和歌謡ヒットを残した歌い手であり、また海外のレヴューのように華やかに歌い踊るステージングで多くのお釜を魅了した日本を代表するエンターティナ―の一人だ。そんな彼女が泣いていたのだ。
僕にとっての小柳ルミ子は"強い福岡の女"の象徴だった。
気の強い福岡女の系譜で言えば、僕らの世代では浜崎あゆみ、椎名林檎。その前が酒井法子。その前が松田聖子。その前が小柳ルミ子。そして、その前が今年1月に76歳で亡くなった梓みちよ兄貴。
いずれも数々の大きなバッシングを受けても決してへこたれず、生き馬の目を抜く芸能界を長年第一線で走り続けるタフすぎる女たちだ。
彼女たちのタフさに僕はいつも感動するとともに大きなパワーをもらっていた。
そんなすごい系譜の中でも気の強さが滲み出過ぎている小柳ルミ子が泣いていたのだ。
どうやらこの4ヵ月間、新型コロナの影響でほぼ仕事がなかったらしい小柳ルミ子。
彼女ももう68歳。世間と隔離された状況で独り身の寂しさや芸能人としての需要などいろいろと考え過ぎて鬱々としすぎているのかもしれない。
どうやら最近、公式ブログでも弱音を吐き心配されていたようだ。
「もうこの業界に私のポジションは無い」 小柳ルミ子、68歳の誕生日に将来悲観するコメント ファンから心配の声相次ぐ - ねとらぼ
でも、90年代の年下ダンサー・大澄賢也との泥沼離婚騒動でも決して弱さを見せなかった小柳ルミ子が弱音を吐いて泣いていると言う事実は僕の心にかなり来てしまった。
離婚後もrumico名義で大澄賢也に向けた名曲「いい気になるなよ」を歌い踊っていたあの小柳ルミ子がである。
放送では名曲「瀬戸の花嫁」の流れる中、今年71歳で言葉も詰まることも増えた大竹まことが火曜日レギュラーのはるな愛とともに小柳ルミ子をなんとか気を落としすぎないでと温かく励ます姿に僕も車の中で聴きながらもらい泣きをしてしまった。
この心の触れ合いは仕事上の一瞬の時間だったかもしれない。でも、確かに心と心が触れた瞬間がそこにはあった。その事実がすべてだ。
『もう僕を、私を誰も必要としてないのではないか』。
この不安は小柳ルミ子だけのものではない。コロナの大きな渦の中で心が置き去りになっている人がたくさんいるんだろうと思う。それぞれの場所でのそれぞれの不安。
あの小柳ルミ子の涙にいろいろと考えてしまった少し涼しい夏の夕暮れだった。
是非radikoまたはPodcastで本放送を聴いてほしい。