球体通信

Around Forty gay on the Kyushu Island

小倉・名画座の思い出。

北九州の小倉・名画座が経営者が代わり新たに生まれ変わろうとしているらしい。

 

九州以外の人にはピンと来ないかもしれないが、

 

ここは歴史のある成人映画館で九州唯一のゲイ専門映画館でもある。

 

brutus.jp

 

僕が小倉・名画座に行ったのもずいぶん前。

 

九州人のゲイとして名画座には一度は行っておこうとずっと思っていた。

 

その日は小倉駅から少し離れてた駐車場に車を駐めてゆっくり小倉の街を歩いた。

 

昭和の繁栄が見てとれるような小倉の街。

 

大きなアーケード商店街を抜けて

 

脇の路地に抜けて少し歩くとストリップや24時間の居酒屋が。

 

その間に有名な薔薇族の絵の看板が見えてちょっと感動したのを覚えている。

 

入口のチケット売り場の中には小さなおばあさんが座っていた。

 

1500円だかを払って年季の入った階段を上がり二階のゲイ映画館に。

 

扉を開けると暗がりの中に10から15ぐらいの諸先輩方が。

 

たぶん皆さん60オーバーだろうなと言う感じ。

 

若いと言えるのは僕だけだった。

 

中の空気は昭和から封じ込められてるよう。

 

スクリーンに映るのは昭和か平成かも判断のつかないちょいレトロなゲイポルノ。

 

しばらくぼーっと見ていたものの、歴史資料的には興味深いけど、

 

そのときの僕にはピンと来ず時間をもて余していた。

 

少し時間が経ちトイレに行きたくなったので何も考えずに座席後方のトイレに行った。

 

ドアを開けると洗面台がありその左横にトイレのドアがある。

 

トイレのドアを閉めようとした時、メガネの堅物そうなおじさんが一緒に入ってきた。

 

突然のことに普通に驚いた。少ししてあっそっかと。そうだったよねと。

 

僕はおじさんにチョメチョメされかけた。というかほとんどされた。

 

こっちはそういうつもりじゃなく本当におしっこしたいだけだったので、

 

なんかノリきれず微妙な感じでおじさんが出たあと自分もトイレを出た。

 

今思うとその場の作法もわからずなんか申し訳ないことをしたよう気もする。

 

座席に戻ってもおじさんはチョッカイを出してきたけれど別にどうこうなることもなく。

 

頑張って2時間ぐらいは居たかな、一応お金払ってたから。

 

そのおじさんが帰ってからしばらくして僕も帰った。

 

そんな思い出。というかよくわからない記憶。

 

老け専ではないけどちょっとドキドキはしたかな。

 

そういえば途中で管理人のお兄さんが入ってきてそれが一番のドキドキポイントだったかも?

 

あの入り口のおばあちゃんはもう引退されたのかな。あのお兄さんもいないのだろうな。

 

オーナーさんが変わったというからね。

 

あのメガネのおじさんは今も通っているのかな。

 

老後のゲイの社交場としては素晴らしい場所だなと当時も思った記憶がある。

 

老人ホームのような何とも言えない素敵な空間だったから。

 

小倉の街も再開発が続いてるらしく昭和の匂いも消えていくのだろうね。

 

小倉の人間ではないのになんだか寂しい。

 

そんな中で小倉・名画座が残っていくことは素晴らしいことであり喜ばしいこと。

 

でも、あの閉じられた空間がオープンな場になっていくことで失われていくものもある。

 

箱が残ってもあの人達はいなくなるのだろうな。あの空間はなくなるのだろうな。

 

当たり前のことだけどさ。

 

時の流れについて行けないのは御老人だけではないと思う。

 

僕のような過去に引っ張られながら生きる昭和生まれのゲイもおんなじだ。

 

僕みたいなのが死に絶えた後、

 

やっと時代は変わり新しい何かが生まれるのだろう。

 

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