まさかの2つ続けてのマイ・ベスト・ゲイ映画の記事。
前回の「ブエノスアイレス」が国外、今回の「ハッシュ!」が国内ということで許してもらおう。
2001年の「ハッシュ!」もまた日本におけるゲイ映画の金字塔といえる作品。
自身もゲイであることを公表している橋口亮輔監督なのだけど、
1993年「二十才の微熱」1995年「渚のシンドバッド」2001年「ハッシュ!」
2008年「ぐるりのこと。」2015年「恋人たち」と監督作品を並べてみて見ても
やっぱりひとつのピークがこの作品なんだよね。
商業的に成功したのは「ぐるりのこと。」になるとは思う。
ただ中身は「ハッシュ!」に軍配だな、個人的に。
今となってはよ、ゲイカップルに子供を残したい女が紛れてくるなんてストーリーもありだと思えるよ。
欧米なら20年前でも全然あったかもしれない。
でも、20年前に日本でこの設定をやったのってすごくないか?
しかも、見ればわかるけど不思議なことに俳優陣が素晴らしいから
空虚なファンタジーになってないのよ。
重苦しくもないしむしろポジティブな空気にあふれた作品。
主演はモデル出身の田辺誠一、最近男闘呼組復活でも話題になった高橋和也。
僕は子供をそこまでして残そうとも思わないしこのままただ歳だけ取っていくつもりだけど、
見たときになんかスッと肩の力が抜けるというか選択肢の幅は感じた気がする。
また里帰りした田舎の実家でのシーンが本当に日本的で物語に奥行きをもたらしているんだよね。
DVDの特典映像でそのシーンに出てくる母親役の秋野暢子の演技がすごいって海外で話題になったと言っていたと思う。
現在食道がん闘病中の秋野さんをはじめとして脇の俳優陣も素晴らしいんだよ。
割とゲイ映画では出てくる実家との軋轢のシーンも日本の当事者の監督が描いているそのシーンの持つ意味は大きいと思う。
海外のものをそのまま日本に当てはめるんじゃなくてちゃんと日本映画としてのアイデンティティーも守られていると感じる作品だな。
だからこそ海外での評価も高かったのかなと思う。
「ブエノスアイレス」さえアマゾンプライムで100円セールしていたのに
この「ハッシュ!」DVDだけでなく配信で気軽に見れるようになったらいいのにと思う。