もはや伝説となった昨年9月8日放送のTBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」。
爆笑問題・田中裕二のコロナ感染により伊集院光が代打で登場したあの回だ。
この度、ラジオリスナーが選ぶ『プラネット賞2020』年間賞にも選ばれたという。
まぁ納得の、圧巻の放送で放送直後から絶賛の嵐だったあの放送。
僕も何回聴いたかわからないぐらいこの半年間繰り返しあの放送を聴いた。
以前、太田光は「日本人は漫才にしてもラジオにしてもその関係性を楽しんでいる」というようなことを言っていた。
確かにあの放送は昭和、平成、令和と同じ時代を生き抜いてきた芸人同士の深いつながりが感じられる放送だった。
爆笑問題・太田光と伊集院光。この二人には多くの共通点があると思うが、
子供がいないということもそのひとつである。
人はいろんな事情で子供のいる人生、子供のいない人生を選ぶことになる。
それは望むと望まざるとに関わらずである。
また相当にセンシティブな問題でありながら
日常に当たり前に顔を出す大きな差異でもある。
子供なんかいらなそうにも思える。実際そうかもしれない。
だが、子供のいないコンプレックスのようなものをラジオを聴いていると言葉の端々に感じる場面がある。
これはあくまでいちリスナーである僕が勝手に感じているだけなのだが。
ちなみに太田光に関しては、パートナーの太田光代さんが不妊治療をしていたことを近年公表している。
まぁ当人たちが本当にどう思っているかなんて傍から見ている人間にはわかるはずもないし、知らせる必要もないとは思う。
でも、最近の彼らの仕事を見ていくと彼らなりの子供という存在との向き合い方なのではないかと思える動向がうかがえる。
太田光は今月、書き下ろした絵本「アマガエル」を読み聞かせアプリの中で公開している。
また一方の伊集院光は昨年10月に伝統のある人気番組「全国こども電話相談室」を自身の番組の中で復活させている。
一生懸命、絵本の絵を描く太田光。一生懸命、電話で小さな子供の疑問を聞く伊集院光。
彼らを思う時。彼らの心に思いを巡らせる時には僕の心はいつも泣いている。
それは彼らが彼らなりに子供のいない人生に真摯に向き合おうとしているからだ。
そして、その人としての強さを感じるからかもしれない。
そこに至るまで相当な思いがあったのだろうというのは想像に難くない。
これは勝手に僕がドラマチックに妄想しているだけかもしれない。
でも、なんか妙にジーンときてしまうのだ。すごいなぁって。
彼らのように50代を迎えた時に僕は子供のいない人生と向き合えているだろうか。
どうしようもないことを延々と悩んでいられる人間だからまだ逃げ続けているだろうか。
いろいろと立場が違いすぎて一緒くたに考えることはできないけれど、
彼らのしっかりと向き合う姿勢には学ぶべきところが多いなぁと日々感じている。